2012年3月25日日曜日

【書籍】方法序説(ルネ・デカルト)

誰もが一度は聞いた事があるであろう、ルネ・デカルトの

「我思う、故に我あり。(仏:Je pense, donc je suis)」

この言葉が書かれたのがこの、「方法序説」であることはおそらく言うまでもないのですが、はずかしながら実際にこの本を読んだことがなかったため、それがどういう文節で語られたものであるのか、またこの「方法序説」とはいかなる文章であるのかというのを初めて知りました。


方法序説は原題を

理性を正しく導き、もろもろの知識の中に真理を探究するための方法序説Discours de la méthode pour bien conduire sa raison, et chercher la vérité dans les sciences

 というらしく、まさしくタイトル通りの内容でした。哲学の重要な言葉が出る書籍として、かなりハードな内容を想像したものであったが、実際はそうではなく、一般の人に向けた科学的探求における私的態度の表明をしたエッセイという調でした。文章もわかりやすい言葉で書くという事を目的として書かれたもののようです(訳書もわかりやすかったです)。

 というのも、もともとは現代でいう理工学書のappendix(補遺)的な意味合いで、「屈折光学、気象学、幾何学」に関する書籍を出版する際に付加されたものなのだそうです。想像していた存在論的(?)な意味合いは全体を通して強調しているとは感じる事ができず、「真理の探求に魅かれた研究者が、誰にも邪魔されず安らかで自由な研究を行うための方法論と、研究に対する態度」を教えてくれるような内容のように思えました。人間が自分についての事を探求する事についても述べられていますが、これもその他の研究対象と同様なスタンスをとった結果、という印象をうけました。

高校の時の倫理の授業で、デカルトの方法序説についての説明があったと思いますが、この程度の難しさ、量の文章ならば、できるならばすべてを読ませてもいいのではと思いました。もし、大学に行くのであれば、誰もが学問に関わる事になるのですから、学問の探究における基本的な態度がわかりやすく示されているこの書籍は読んでいて損は無いと思いました。

「我思う、故に我あり」

少なくとも、自分の中ではこの言葉は一人歩きしていたような気がします。途中、神の話とかが出てくる部分がありましたが、キリスト教や宗教に関して違和感や、拒絶感のある方がいるとしたら、今この現代で言う所の「時代の空気」というように読み替えてみると、すっと入ってくるような気がします。ただ、たくさんの研究者たちが言質を述べているこの文章、もっともっと奥は深そうではありますが、最初は気軽に手に取ってみるのがいい本だとおもいました。そして、気軽な気持ちで解釈してみればいいと思います。


訳者も述べていますが、「哲学(学問)」に興味を持つ人であれば入門書としてまずは手に取って読んでみるべきだと思いました。




ちくま学芸文庫
「方法序説」 ルネ・デカルト(訳:山田弘明)

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