お祭りへ行ってきました。お祭りに行くといつも感じるのですが、祭りをつくる人たちを動かす力があって、そしてその力とはまた違う力が働いて人々が集まってくる。そんな風に感じています。そのエネルギーの中にいると、人が生きて幸せを感じるという事は、決して経済だけでは語ることのできないと、そんなような気がします。
さて、地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わっている山崎亮さんと、地域経済を専門とされている日本総研の藻谷浩介さんという方の対談を書きおこした、
「藻谷浩介さん、経済成長が無ければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?」
という本を買って読みました。対談本だったのでとても読みやすく、本を買って2時間ほどで読んでしまいました。
啓発系のブログでPVを稼ぐ為に書かれるようなタイトルを冠してはいますが、このタイトルはダグラス・スミスという政治学者の「経済成長が無ければ私たちは豊かになれないのだろうか」という本に由来しているそうです。(p16)
最初はE・F・シューマッハーの「
スモールイズ・ビューティフル」のような内容を想像したのですが、 - 経済成長なんて必要ないんだ! - や - 人間の豊かさはコミュニケーションだ! - といったような極論に走る事無く、現実に地域で起きている状況と、経済学で出される数字や指標などを対比しつつ、それぞれをどのように見ていけば良いのかという所が丁寧に説明されていたと思います。むしろ”どうすべきか”という主張に関しては、少し距離を置いていました。それについては、内容を読み進めていくうちに明らかになってきます。
前書きにも記述がありましたが、対談がもとになっているので、その場の空気や時間の関係によって、すべてが網羅されている訳ではないとのことです。その分、それぞれの立場の人たちへの興味を持つきっかけや、歩み寄りのきっかけになるような配慮がされているような気がしました。
大学時代に山崎さんのされている家島のワークショップにゼミで参加した事があり、その地域に溢れるたくましさやエネルギーを実感していたので、話の内容がとてもスッと入ってきました。逆にその場で感じた事を、別の視点で冷静に補ってくれるような内容になっていたと思います。
この本だけでは到底伝わりきる事のできないそのエネルギー。感じてみたいという人はぜひ紹介されている場所へ行ってみると良いとおもいます。自分も行った事が無い場所には、一度足を運んでみたくなりました。家島に関しては、もしかしたら今年のアイランダーにいけばすこし感じる事ができるかもしれません(http://www.i-lander.com/2011/index.html)、そして猛威とど読むとまた新たな視点を見つける事ができるような気がします。
重複になりますが、とても簡単に読めると思うので、地域経済、まちづくりやコミュニティデザインに興味が或る人は、それぞれの事をバランス良く考えるきっかけになるのではないかと思います。個人的にはとても楽しんで読む事ができました。