2012年1月15日日曜日

【書籍】スモール・イズ・ビューティフル

さて、今までは日記の方に書籍の感想などを書いていたのですが、こちらのブログ(考察記の方)に書いていこうと思います。とは言うものの、こちらに書くのは人文社会学系(歴史、経済、哲学、思想)と、科学系の事を書いていこうと思っています。書籍は読むのもいいですがやはりちゃんと感想を書き、考察を重ねる事が大事だと思うので一つ一つ丁寧にこなしていこうと思います。ちなみに情報系に関しては「メモ」の方に、デザインなどに関しては「日記」の方に書いていこうと思っています。この分類にはちょっとした理由があるのですが、詳しくは書きません。

さて、E・F・シューマッハ著(小島慶三 訳)の「スモール・イズ・ビューティフル」を読み終わりました。
とても、読みやすい訳書で、内容もとても面白いものでした。個人的な興味の範囲と、社会に対するスタンスが少し似ているような部分もあるかなと思った所もあり、なかなかタイムリーな内容だったので、それも読みやすかった要因の一つであるような気がします。

ものすごくいい加減な要約をすると、「経済が発展する事は大切な事なんだけど、本当に豊かであるという事がどういう事かをちゃんと考ええて、今できる事をしていこう」という事だということを言いたいんだと思います。これは本当に暴力的な読み解きで、現代の資本主義社会の中で、利潤を求め続ける経済や、その中の企業は拡大の一歩をたどる、エネルギー需要も高まり続ける、人口も増え続けるけれどもそれによって社会は本当に幸せになっているのかということ、どういった社会が本当に幸せなのだろうかということへの考察がかかれています。

大きく分けて二つの視点が印象に残っていて、そのうちの一つは科学の成長と来るべきエネルギー危機にどう向かうべきかという事でした。1973年に書かれた本ですが、先ほどに述べたタイムリーであると言う事、その理由としてあげるのであればここにあたると思います。なぜなら原子力とエネルギニーに関する事がしっかりと一章分割いて記述されているからです。ストロンチウム90が人間の骨に蓄積して悪影響を及ぼす可能性がある、など結構細かい事についても書いてあって、出来事が起こってしまってから、「ほらみろ、昔から予言されていた事じゃないか!!」などというのもなにか少し違うかもしれませんが、実感としてなかなかに衝撃的な内容でした。

もう一つは「正しく生きること」についてでした、仏教経済学という基軸で説明されています。多くのものをもとめず、自分に必要なものを最低限の労力で求める事が大切な事である。というのが概要ですが、決して何事も安いものであればいいという事ではなく、粗悪なものでは意味が無いとも解いています。つまり、言う所による「安物買いの銭失い」ということですね。よりよいものを適正な価値として、適正な量だけを求めるようにする事が大事って言う事なんだと思います。

基本的には科学技術や、マクロな経済学の話であり、最後の方の章は大企業の株式保有の話など(これは少しずつ学んでいかなくちゃ行けないけれど)直接的には関わりの薄い部分のように思いますが、「スモールイズビューティフル」一つ一つの事を意識して生きていく事って、大切なんじゃないかと思う無いようでした。

この本を読みながら途中で何となく、

「質素であれ、貧相であるな。」

なんて言葉が浮かんできたので、それを心がけてみようかな、と思いました。
とてもよい本で、しかもなかなかタイムリーだと思うので、経済活動に少しでも寄与している人であれば、一度読んでみると面白いかもしれません。

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